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2016.10.06

【tips】東芝が植物工場を閉鎖したニュースを、農業現場から考える

代表の栗田です。今後、定期的に本blogにて農業領域におけるtips(情報やそれに対する個人的な所感など)を記載してお伝えしていこうと思っております。

やはり、農業に携わる者としてはこういったニュースは残念です。

https://www.kankyo-business.jp/news/013525.php

植物工場は、大きく2つの点でかなり難しい事業モデルだとずっと感じています。

1. 光量の限界

植物にとって、光飽和点(及び光補償点)という指標は光合成量の観点から大変重要です。植物に仕事をしてもらう(=良い野菜をたくさんつくる)為には、光量を光飽和点に近づける努力が肝要です。例えばレタスの光飽和点は25,000Lux、トマトは70,000Luxです。しかし、閉鎖された植物工場における人工光では、25,000Lux程度の照量が(現実的な照明コストとして)限界であり、葉菜類の栽培を行う事に適したシステムということになります(つまり、果菜類の栽培は植物工場では難しいと考えられています)。

2. コストと売価の問題

葉菜類は、どうしても果菜類と比較すると付加価値(味や栄養価、あるいは無農薬)を差別化させづらいです。最近、高カリウムの葉物などが売られていますが、やはり果菜類ほどの高単価を葉菜類には支払いづらい心理がお客さまにはあると感じます。さらに、収量を上げるという事は作付面積(=植物工場の場合は物理的な面積ではなく、照射面積)を増やすという事であり、比例してコストも上がります。植物工場は大変にコスト(初期コストもランニングコスト)が必要な経営単位であり、

(1) コストから逆算すると

(2) 売上を積み上げないと収支が合わない

(3) 収量を上げるか単価を上げるかで解決する

(4) 収量を上げるとコストも上がる、単価を上げるには限界がある

というスパイラルが、今までの植物工場の課題だったのではと感じています。ぶつかる課題が初歩的過ぎない?というツッコミはごもっともです。あくまで植物工場というモデルに執着するのであれば、

・劇的に照射効率を改善する照射システム

・栽植株数を増やしても(ランニング)コストが増えないシステム

・葉菜類価値を劇的に向上させるマーケティング

のいずれかを開発すれば、大変魅力的な事業モデルになると考えています。現実的には1つめが一番可能性あるでしょうか。この3つの解決以外に植物工場が成功するアプローチがあるのなら是非知りたいです。植物工場という事業モデルがこれからもっと良いものになっていくと素敵だと思います。自分は、もうちょっと安くてフレキシブルな手法で頑張ります。農業にまつわることについては、これからも色々と申し上げてまいりたいと思います。